受託開発じゃダメ、か。

「中毒性」ある受託開発がソフトウェアベンチャーの躍進を阻むという記事をたまたま見かけ、驚いた。そうか、ベンチャーキャピタルの世界では「受託開発じゃダメ」が常識になっているのか。

私は受託開発の仕事ばかりやってきた。現在の職場では受託開発でさえ遠い夢になっている。月数十万で顧客企業に派遣され、どこかのアホが大昔に書いた汚いコードを保守していくだけ。お客さんの信頼を得てまとまった単位で受託し、自由に設計して美しいシステムを作るのが夢だ。ところが、この記事を書いた大迫正治氏はそんな夢を否定している。受託開発では技術が蓄積しない、人材が蓄積しない、資金が蓄積しない、とのこと。

言われてみれば確かにそうだ。受託開発でたまたま新しい技術を習得できたとしても、そのプロジェクトが終われば終わり。全然違う別のプロジェクトに放りこまれるので一からやりなおしになる。この業界の人間はたしかにみんな働きすぎだし、すぐに辞めてしまう。かく言う私も数年ごとに転職している。MozillaBansheeの開発に首をつっこんだのも、仕事で得られないものを得るためだ。

しかし、受託開発によって自社開発のための力をつけるべきだ、という主張に対し、受託開発はダメだ、最初から自社開発を目指せ、というだけでは何の提案にもなっていないように感じる。それができたら誰も苦労しないんじゃないだろうか。