開発者がカネ以上に欲する9つのこと

プログラマのモチベーションを高める9の事項を読んで、元ネタのNine Things Developers Want More Than Money(開発者がカネ以上に欲する9つのこと)を知った。Rob Wallingという人が書いたブログの記事だ。

ベースになっているのはFrederick HerzbergのTwo Factor Theory。Wikipediae研修ネットによれば、アメリカで203人の会計士とエンジニアにインタビューした結果に基づき、仕事に対する不満は「衛生要因」から生じ、満足は「動機付け要因」から生じる、と主張する理論だ。衛生要因は給料や作業環境や人間関係からなり、動機付け要因は仕事の面白さや責任からなる。

この理論に基づき、Rob Wallingは衛生要因のひどさを補ってあまりある動機付け要因を9個挙げている。プロジェクト計画が適切、マネジメントが優秀、新しいことを学べる、挑戦しがいのある課題がある、意見を聞いてもらえる、褒めてもらえる、意味のあるものを作っている、会議や稟議なしにソフトウェアを書ける、過去の制約が少ない。プロジェクトにこれらの要因があればプログラマーは安い給料と最低の作業環境しかなくても嬉々として働くのだという。衛生要因より動機付け要因のほうが重要、と主張しているのだから、Two Factor Theoryの枠組みを借りながら少し違うことを言っていることになる。

私は以前から「労働時間」と「仕事の面白さ」を基準にして勤務先の会社を評価してきた。労働時間が短く、仕事が面白ければ最高。長時間労働だが仕事が面白いか、仕事はつまらないが労働時間が短ければ、とりあえず我慢。つまらない仕事で残業や休日出勤が続いたら、真剣に転職を考える。次の会社ももちろんこの二つの基準で選ぶ。これは何度か転職するうちに身についた基準なのだが、有名な理論で裏付けできる基準だとは今回はじめて知った。

しかし、最近感じ始めてきたのは、転職活動の際にTwo Factor Theoryでいう動機付け要因を重視するのは正しくないんじゃないか、ということだ。Rob Wallingが挙げているような要因で評価できるのはソフトウェア企業ではなく、個々の開発プロジェクトだ。とくに私の場合、開発プロジェクトは顧客企業のものであって自社のものではない。客先に常駐して他社のプロジェクトリーダーの下で作業することがほとんどだ。いわばプロジェクトごとにプチ転職しているようなもの。そうなると、最悪のプロジェクトから逃れようとして会社を移り、新しい会社で最高のプロジェクトに入れても、それが終われば次は再び最悪のプロジェクトに出会ってしまうかもしれないわけだ。したがって、転職先を決める場合は衛生要因を重視するのが無難に思える。Rob Wallingが言っていることとは逆になる。

プロジェクト管理の観点で考えるならRob Wallingが言っていることは正しいと思う。動機付け要因を常に気にかけているプロジェクト管理者の下で働ける、という要因を10個目として付け足せば、彼の主張は会社を評価する場合にも使えるかもしれない。