「イヤガラセ」騒動について

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1. 「イヤガラセ」発言の意図

「イヤガラセ」の中身を問いただすのではなく、「イヤガラセ」という単語に条件反射する意見ばかりだったのには正直うんざりした。

もじら組のWeb標準普及プロジェクトは、Web標準に従っていないためにMozillaでのブラウズに問題が生じているサイトに対し、Web標準に従った修正を働きかけることを目的にしている。問題のあるサイトの大半はIEしか想定せずに作成されているサイトだ。問題はサイトの作成者にある、という認識に立ったプロジェクトだと言える。そこへ今回の「IEユーザーを啓蒙しよう」という提案。今まで考えてもみなかったアイデアだった。面白いと思ったし、ぜひやってみたいとも思った。

日本の Linux 情報にLinuxでアクセスすると、「Linux使ってますね!」とペンギンが挨拶してくれる。アクセスするたびにニヤリとさせられる。「啓蒙」の提案を知って思い浮かんだのはこれのブラック版。IEユーザーに対してドクロを出すとか、「あなたのブラウザには深刻な欠陥があります」とメッセージを表示するとか。「気の利いた嫌がらせ」という言葉でイメージしていたのはその程度のことだ。


2. もじら組は組員の自由な発言を許さないのか

発言が個人としてのものだったのは言うまでもない。プロジェクトのメンバーに対して正式に「イヤガラセ」を提案したわけでもない。仮に提案しても他のメンバーが拒否するだろう。

さらに、Web標準化プロジェクト≠Web標準普及プロジェクトで書いた通り、Web標準化プロジェクトもじら組のWeb標準普及プロジェクトは別物だ。Web標準化プロジェクトは、似たような課題に取り組んでいるもじら組のWeb標準普及プロジェクトとOperaユーザーのOpen the Webが連携を深めることを意図しており、将来的にはMozillaやOperaからも離れて発展していくべきプロジェクトだ。つまり「イヤガラセ」発言は最初からもじら組とは関係ない。

にもかかわらず中野さん組長がもじら組の立場から私を批判したのには驚いた。組長にいたっては倫理規定を提案するとまで口走っている。私の「イヤガラセ」発言と同じで個人的な発言なので別にかまわないのだが、私としては暴走と感じる以外なかった。もじら組は一体いつから自由な発言が許されないコミュニティになったのか。

もじら組に対する外部からのデタラメな非難に対し、「小池の発言はもじら組の観点からみても暴走だ」と説明してもじら組を守りたかっただけなのであれば、組員である私としては感謝すべきなのかもしれない。二人が私を批判したことで、結果として私の発言は私個人の発言として受け取られる結果になったようにも思う。しかしそれなら「あれは小池の個人的な発言だ、私は反対だ」とだけ書いてくれれば済んだはずだ。

この点に関してはryusさんがまっとうなコメントを書いてくれている。とくに私を擁護してくれているわけではないが、ありがたい。ryusさん、もじら組にはあなたのような人が必要です。いっしょにやりませんか。Firefoxのバグ管理とか。


3. 「全員死亡」の教訓

組長は今回、私信やIRCでの私の発言を勝手に、しかも前後の文脈を無視して引用している。しかしそれは瑣末なことなのでいいとしよう。問題は中身だ。

私がIRCで書いた「全員死亡」とは、すでに誰かが指摘してくれたようだが、もじら組では特殊な意味を持っている。笑えることに定義もある


Bugzillaにて、何かアクションを起こそうというバグが立ったにもかかわらず、議論が紛糾し、何も決められずにバグが閉じられてしまうこと。とくにもじら組サイトのデザインに関してよく起こる。

もじら組サイトのデザインは過去に何度か変更されている。そのたびに、どのWeb標準を採用するか(HTMLかXHTMLか)、個々のブラウザにどの程度まで配慮するか、などといった論点で激論が起こる。それで嫌気がさしてもじら組から離れてしまった人も何人かいるほどだ。どういうわけか、ウェブデザインの分野には他人の意見を尊重することができない人が多い。今回の騒動もその一例となった。今回の場合、組長が最初から感情的で、もじら組からの脱退までほのめかしたのには困った。あぶなくて反論することもできなかった。


4. 行動のための批判か、揚げ足取りか

組長が「全員死亡」の意味を誤解して持ちだした三年前の発言は、正確に引用すればこういうことだ。


> 「Web標準普及プロジェクト」の目的って、
> 「W3C 勧告に従え。」
> ということでしょうか?それとも
> 「Mozilla で見れるようにしろ。」
> ということでしょうか?
> 読んだ限りでは後者のように思えるのですが、
> それは「Mozilla で見れる」という新たな標準を
> 作るだけで更なる混乱を招くだけに思えます。


「W3C 勧告に従え。」と「Mozilla で見れるようにしろ。」は同じことです。


相手はWeb標準普及プロジェクトの目的を聞いている。当然、返答もそれに限ったものだ。Web標準普及プロジェクトはMozillaでの閲覧に支障が生じる限りでWeb標準の採用を働きかけているので、プロジェクトの活動の範囲内では「『W3C 勧告に従え。』と『Mozilla で見れるようにしろ。』は同じこと」と言ってもいい。

批判を無視した、というのも事実に反する。上記の発言のあと、相手からさらに批判を受け、私はもう一度答えている。これで誤解は解けた。その上で残った論点は、問題サイトの作者にWeb標準そのものを理解させなければならないのか、それとも問題がWeb標準に従って修正されればよいのか、ということだ。私はもじら組のWeb標準普及プロジェクトとしては後者で十分だと考えた。前者でなければならない、後者の方針での活動は有害だ、というなら別にプロジェクトを立ち上げてくれればいいし、私もそれを望んでいる、と発言した。応答としてはこれで十分で、その後の批判は単なる揚げ足取りだと判断したので、一切応えていない。


5. Web標準化プロジェクトの今後

今回の騒動で一番痛かったのは、中野さんが血相を変えて私を批判してきたことだ(私信で)。事実上の不信任だと受け止めている。もじら組のWeb標準普及プロジェクトは私が呼びかけ、現在は中野さんが中心になっている。Web標準化プロジェクトも同じように進めていきたいと思っていた。しかしそれは不可能になったと考えるしかない。私はWeb標準化プロジェクトの推進役から退くことにする。

私はWeb標準派である以前にMozilla派であり、フリーソフトウェア派だ。非フリーソフトウェアのユーザーと連携するプロジェクトの推進役にはもともと適していなかったと思う。正直なところ意欲もあまりなかった。

中野さんには、私の代わりを探すか、または中野さん自身が私の代わりを務めることをお願いしたい。暴言の主が去ればきっとやりやすくなるだろう。あとはよろしく。